DXA検査でわかること - 結果報告書のポイント コラム2021.07.24

全身体組成測定結果報告書
前回のコラムでは体組成についてお話しましたが、今回はDXA検査で分かる体組成についてご紹介します。(骨密度の結果詳細に関しては、2019.12.06のコラムを参照してください)
DXAでは2種類のX線を利用して、その透過率の違いから、身体を「骨」「脂肪」および「非脂肪」の3つに分類し、分析することで以下のような指標を知ることが可能です。ご興味のある方は、PETがん検診受診時に抗加齢オプションをお選びください。

DXA検査でわかること

脂肪量・非脂肪量・骨量と総重量

まず、画像から体組成を3つに分類します。また、総重量はこれらを足した重さですが、画像から算出した体重となるため、体重計で測定した体重とは異なります。
 □ 脂肪量(g)=計測された脂肪量
 □ 非脂肪量(g)=体内の水分量などを含む筋肉量=筋肉+臓器+血液+水など
 □ 骨量(g)=骨の中に含まれるミネラル分の量(骨塩量)
 □ 総重量(g)=脂肪量+非脂肪量+骨量

体脂肪率(軟部組織脂肪・部位脂肪)

体脂肪率は脂肪量の割合を算出したものです。DXAでは以下の2パターンで脂肪の割合を算出しています。
 □ 軟部組織脂肪(%)=脂肪量/(非脂肪量+脂肪量)
    - 骨以外における脂肪量の割合
 □ 部位脂肪(%)=脂肪量/(非脂肪量+脂肪量+骨量)
    - 骨量も含むその領域内の脂肪量 → 報告書では全身で測定(≒一般的な体脂肪率)

内臓脂肪が多い場合、生活習慣病の危険因子となりますが、体脂肪率と疾患の関連性は現在のところ明確になっておらず、共通の基準はありません。年齢によって変化しますが、成人男性で20%以上、成人女性では30%以上で肥満とされています。(日本肥満学会「肥満・肥満症の指導マニュアル第2版」)

アンドロイド・ガイノイド比

リンゴ型肥満洋ナシ型肥満
脂肪のつき方を見る指標です。なかなか聞きなれない指標かと思いますが、アンドロイドは腹部、ガイノイドは臀部(お尻)領域の脂肪を見ており、その比率で肥満を分類することが可能です。この比が1より大きい場合は腹部に脂肪が蓄積しているリンゴ型肥満で男性に多く見られます。一方、1未満の場合はお尻に脂肪が蓄積している洋ナシ形肥満となり、女性に多く見られます。
  □ アンドロイド/ガイノイド比(A/G比)=腹部領域と臀部領域の脂肪組織の比率

RMR(安静代謝率)

仰向けで寝ている、または座って安静にしている状態で消費される呼吸や心機能、体温調節といった正常な身体機能を保つために必要なエネルギー量のことです。体組成計などで計算される基礎代謝(横になった状態で、腕や脚を動かさずに24時間で消費するエネルギー)とほぼ同じ意味です。
 □ RMR(安静代謝率)=安静状態でのカロリー消費量の推定値
 

SMI(四肢骨格筋量指数)

四肢(両腕・両足)の筋肉量の指標です。四肢には臓器がなく、非脂肪量で筋肉量の判定がしやすいため、筋量を評価する指標として用いられます。筋量低下に伴う筋力の低下や身体機能の低下を伴う疾患であるサルコペニアでは、女性5.4kg/㎡未満、男性7kg/㎡未満が診断基準となっているため、該当する場合には注意が必要です。(サルコペニアに関しては、2020.07.06のコラムを参照してください)
 □ SMI(四肢骨格筋量)=両腕・両足の非脂肪量/身長(m)
 

【参考】

日本肥満学会「肥満・肥満症の指導マニュアル第2版」
サルコペニア診療ガイドライン2017年版 https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001021/4/sarcopenia2017_revised.pdf
診療放射線技師 (006-2)