認知症リスク低減のために

予防の重要性

認知症は超高齢社会※1の日本だけでなく、世界的にも解決すべき公衆衛生の課題となっておりますが、有効性の高い治療方法が確立されておらず、進行を遅らせるのが限界、というのが現状です。一方で、認知症発症に関係している因子は解明されつつあり、早い段階での予防行動が重要であることが認識されています。
ここでは世界保健機関(WHO)が公表している「認知機能低下および認知症のリスク低減」のためのガイドライン(2019)に記載のある、エビデンスに基づく介入・予防管理法についてご紹介いたします。
※1 全人口の21%以上を65歳以上が占めている状態

ガイドラインの対象 ~ 一次性認知症と二次性認知症 ~

認知症の原因は多様※2ですが、大きく分類すると神経細胞の変性によって引き起こされる一次性認知症と他の病気が原因で引き起こされる二次性認知症の2つに分けることができ、WHOのガイドラインでは、一次性認知症に対する推奨事項について言及しています。二次性認知症に関しては原因となる病気の予防や治療が重要となります。

認知症の危険因子は何か

認知症の危険因子は大きく以下の3つに分けられます。
認知症は加齢による因子が注目されがちですが、生活習慣に関連した危険因子が認知機能障害や認知症の発症と関連し、特定の病態が認知症発症リスクを増大させることが研究により分かっています。つまり、修正可能な危険因子が認知症の予防や認知機能低下の進行遅延に繋がる可能性があるということです。

ガイドラインが推奨する介入・予防管理とは

ガイドラインでは12の対策について、どのような方にどのように介入するとどのような効果が得られるのか、ということをエビデンスや推奨の強さでまとめています。なお、エビデンスの強さがエビデンス蓄積までのタイムラグが発生することから、推奨の強さを参考に活用することが勧められています。
 
ガイドラインが推奨する12の対策

おわりに

WHOのガイドラインを参考に、適度な運動やバランスの取れた食事、疾患のコントロールを心掛けて健康的な生活を送って頂くとともに、定期的な検診等でご自身の状態を把握して認知症の発症予防につなげて頂ければ幸いです。
 
本コンテンツでは、【WHO ガイドライン「認知機能低下および認知症のリスク低減」SBN 978-92-4-155054-3 © 世界保健機関 2019】を「クリエイティブ・コモンズ 表示- 非営利- 継承、3.0 IGO*ライセンス(CC BY-NC-SA3.0IGO; https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/3.0/igo)」に基づいて利用しています。