アミロイドPET検査 ~認知症を診る~ コラム2019.09.12

進む高齢化と認知症患者の増加

“認知症”は様々なメディアで取り上げられるようになり、最近は認知症という言葉を毎日のように耳にします。皆さんのご家族やお知り合いの方に認知症の患者さんがいらっしゃるという方も多いのではないかと思います。実際に日本の年齢別構成に占める高齢者の割合は年々増加しており、2025年には3人に1人が65歳を超え、その5人に1人が認知症であると予測されています。
認知症高齢者の割合

認知症の種類と原因となる疾患

実は認知症というのは病名ではなく、認識力・記憶力・判断力等が落ちることで社会生活に支障をきたした状態のことを表します。認知症の原因は、「主に脳の神経細胞によるもの」「主に脳の血管によるもの」「その他」の3つに大別され、その中で最も多いのが「主に脳の神経細胞によるもの」としてのアルツハイマー病で、60%以上を占めると言われています。
アルツハイマー病を代表とする脳の神経細胞が原因とされる認知症の場合、現時点では完全に治す薬は開発されていません。しかしながら、早期に発見して治療を開始すれば、進行を遅らせたり症状が改善したりすることが分かっているため、認知症の種類を知り、それぞれの疾患に合った適切な治療方法を選択することが非常に重要となります。
認知症の種類

アルツハイマー型認知症の原因物質とされる“アミロイドβ”

多くのアルツハイマー病患者の脳内には、アミロイドβというタンパク質が異常に蓄積していることが分かっています。アミロイドβが脳内に蓄積すると神経細胞に作用して認知機能を低下させるという説が有力となっており、アミロイドβの蓄積部位や程度を知ることはアルツハイマー型認知症の鑑別に有用で、それを実現するのが当センターでも実施しているアミロイドPET検査です。血液検査や脳脊髄液検査で脳内のアミロイドβの蓄積を推定する方法もありますが、アミロイドPET検査ではアミロイドβそのものを画像化できるため、蓄積部位や程度を実際に捉えることが可能となります。
当センターは日本核医学会によるPET薬剤製造施設およびPET撮像施設の認証を受けてアミロイドPET検査を実施する、日本でも数少ない施設のうちの1つとなっています。
事務局 (002)