筋肉の貯蓄を始めませんか? コラム2020.07.06

筋肉減少は加齢とともに - サルコペニア(筋肉減少症)

筋肉は25~30歳頃から減少し始め、生涯を通して減少します。その際、筋繊維数と筋横断面積の減少が同時に進んでいくため、筋肉が細くなっていきます。このような加齢に伴い筋量が減少していく現象を「サルコペニア(筋肉減少症)」といいます。サルコペニアの原因は主に不活動(運動不足など)が原因と考えられていますが、そのメカニズムはまだ完全には判明していません。また、サルコペニアは抗重筋(重力に対して姿勢を保持するために働く筋肉)において多くみられるため、立ち上がりや歩行がだんだんと億劫になり、さらに動かなくなる…といったようなスパイラルに陥りやすく、放置すると最終的に歩行困難になってしまう可能性もあります。いつまでも元気でいられるように「筋肉の貯蓄」をして将来に備えませんか?
とはいえ、日頃からウォーキングなどの運動を取り入れていらっしゃる方が多いかと思います。そこで本日は「ダイエットと筋肉」についてご紹介したいと思います。
年齢ごとの筋肉量

(「谷本芳美 他、日本人筋肉量の加齢による特徴:日老医誌 20104752-57」をもとに作成)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/47/1/47_1_52/_pdf/-char/ja

ダイエットと筋肉

年齢を重ねるにつれ、体重が増えてきた、落ちにくくなったという方は多いのではないでしょうか。一般的に男性は30歳ぐらいから脂肪が付きやすく、女性は閉経後からの体重が増加しやすくなります。体型を維持するためにダイエットをする方もいらっしゃるかと思いますが、筋肉との関係では少し注意が必要です。

糖質制限(カロリー制限)は筋肉を減らす

ダイエットを考えた時、食事制限(カロリー制限)を連想する方が多いと思いますが、少し注意が必要です。特に炭水化物を抜く(糖質制限)ダイエットには、危険が潜んでいます。食事からの炭水化物は各臓器をめぐりグリコーゲンという糖質となり、脳の栄養や体を動かすための原動力となります。しかし、この糖質が入ってこないと体は筋肉に貯蔵されているグリコーゲンを使う(=筋肉を減少させる)場合があります。

筋肉を減らすと痩せにくくなる

筋肉が減少するということは、基礎代謝(何もしていなくても消費されるエネルギー量)が低下し痩せにくい体質となります。逆に適度に筋肉を付けていくと基礎代謝が上がり、同じ量の食事を摂っても太りにくくなります。体脂肪を減らすには食事療法と運動をうまく組み合わせるのが良いとされています。食事はバランス良くいただき、適度な運動を行うことで、健康的にダイエットをすることが大切です。

筋肉貯蓄を始めましょう!

これまでお話してきたように筋肉は身体機能を維持する上でとても大切です。筋肉を付け、活き活きとした生活を送るために「筋肉の貯蓄」をしましょう。ただし、無理な運動は逆に怪我や病気の悪化に繋がります。病気を抱えている方は主治医など専門の方にアドバイスを受けながら運動をしてください。
また、当センターで実施しているPETがん検診│総合コースと一緒にご受診いただける抗加齢オプションの検査項目には筋肉量を測る検査があります。まずはご自分の筋肉量を知る事から始めるのはいかがでしょうか。
看護師 (004)