動脈硬化③ - 頚動脈超音波(頚部US)検査 - コラム2020.12.14

過去2回、血圧・脈波検査、LOX-index検査を動脈硬化に関する検査としてご紹介しました。今回は、画像による動脈硬化の検査として頚動脈の超音波検査をご紹介します。
(過去ご紹介内容はこちらから)

頚動脈超音波検査とは

頚動脈の位置
どこを撮影するのか?
頚動脈超音波検査では心臓から脳に血液を送るための頚部(首)の動脈血管を超音波で観察します。頚動脈は心臓の方から首に入り(総頚動脈)、顎(あご)の下あたりで顔の方へと向かう外頚動脈、脳の方へと向かう内頚動脈に分かれています。検査時間は約10分程度で、首の部分に超音波検査のプローブを当てるだけのため、痛みは伴いません。

何がわかるのか?
頚動脈の血管を観察することで頚動脈はもちろん、全身の動脈硬化の進行程度を評価することができるとされています。心筋梗塞や脳梗塞、大動脈解離などの命にかかわる血管障害の発症するリスクを知ることができます。

頚動脈超音波検査で見えるもの

■血管の厚み
頚動脈の壁は内膜、中膜、外膜から構成されており、この動脈壁の構造を明瞭に描出し、細かく観察することができます。動脈硬化の評価では、内膜中膜複合体と呼ばれる部分の厚み(IMT:Intima Media Thickness)を計測しています。動脈硬化が進行すると血管の内側に傷が付き、そこにコレステロールなどの脂肪分が入り込むことで、プラーク(動脈硬化性粥状変化)を形成し、動脈壁の厚みが増します。
頚動脈壁の構造
■血管の詰まり
プラークができると血管の内部が狭くなり(狭窄)、血液が流れにくくなります。頚動脈の血管が狭くなっている状態を頚動脈狭窄症いい、50%以上の狭窄がある場合には治療の対象となります。頚動脈狭窄症は脳内への血流量の低下をきたしたり、プラークの破綻により血栓が形成され血管が閉塞したり、遊離した血栓が末梢で血管に詰まったりして、脳梗塞を引き起こす原因となります。
狭窄の評価

頚動脈超音波検査で動脈硬化リスクを知りましょう

ご紹介したように頚動脈超音波検査では血管疾患のリスク指標である動脈硬化の評価をすることができます。特に、動脈硬化の危険因子である高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙・男性・家族歴などがある方は定期的に検査を受け、ご自身の生活習慣を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
当センターではPETがん検診と一緒にご受診いただける抗加齢オプション、脳オプションおよび簡易脳ドックで実施できます。がん検診と併せてご活用ください。
参考文献
超音波による頸動脈病変の標準的評価法 2017(日本超音波医学会用語・診断基準委員会 頸動脈超音波診断ガイドライン小委員会)
診療放射線技師 (005)