内臓脂肪について – 何が悪いの? コラム2021.04.02
内臓脂肪と聞くと漠然と“何となく不健康そう”だから良くない、と思っている方も多いのではないでしょうか。また、検診で毎回指摘されるけど何が良くないのかイマイチ分かっていない方もいらっしゃると思います。今回はそんな内臓脂肪についてお話します。
そもそも “内臓脂肪”とは?
日本ではBMI※が25以上の場合 “肥満” と判定されます。肥満は大きく分類すると内臓の周りに脂肪が過剰に蓄積する「内臓脂肪型肥満」と、皮膚と筋肉の間に脂肪が蓄積する「皮下脂肪型肥満」に分類されます。(図1)
そのうち、内臓脂肪型の肥満は皮下脂肪型に比べ、動脈硬化や様々な生活習慣病の原因となることが「内臓脂肪を減らしましょう」と言われている理由です。
そのうち、内臓脂肪型の肥満は皮下脂肪型に比べ、動脈硬化や様々な生活習慣病の原因となることが「内臓脂肪を減らしましょう」と言われている理由です。
メタボリックシンドローム – 生活習慣病の前段階
皆さんにも馴染みのある「メタボ」(メタボリックシンドローム)の診断基準は、生活習慣病リスクを早めに改善するための基準として作られました。メタボと聞くと単純に肥満というイメージが強いですが、厳密には肥満とメタボは異なります。メタボリックシンドロームは直訳すると「代謝症候群」で、内臓脂肪型肥満によって代謝異常が生じている状態のことを指します。
メタボの診断を受けた場合は運動や食事などに関する指導を受け、生活習慣の改善を行うことでその先の血管系疾患の発症リスクを抑えることを目指します。
メタボの診断を受けた場合は運動や食事などに関する指導を受け、生活習慣の改善を行うことでその先の血管系疾患の発症リスクを抑えることを目指します。
脂肪と代謝 – 少し深い話
さて、内臓脂肪の増加によって代謝異常が生じているとお話ししましたが、 “脂肪と代謝” というとあまりピンとこないかと思います。実は脂肪は様々なアディポサイトカイン(生理活性物質)というものを産生・分泌することで、脂質代謝や糖代謝を円滑にする役割を持っています。内臓脂肪が増加してくると、このアディポサイトカインの分泌異常が起こることで、動脈硬化の促進や糖尿病・高血圧・脂質異常症などの発症・悪化の原因となります。(図2)
このような多岐に渡る影響から、内臓脂肪の増加に加え、高血圧・脂質異常・高血糖のリスクがある方はメタボリックシンドロームと診断されます。そして、この状態がさらに悪化し、脳卒中や心疾患のような生命や生活に支障をきたす疾患の発症することを予防するため、生活習慣の改善が重要となります。
さいごに
今回は内臓脂肪という観点から肥満やメタボリックシンドロームを中心にお話しましたが、一方で、やせ過ぎもがんなどのリスクを上げる要因となります。健康的な生活習慣の基本としてバランスのよい食事と適度な運動を心掛けましょう。また、検診ではご自身の身体を内側から確認することが可能です。生活習慣を見直すきっかけや指標にしてみてはいかがでしょうか。
【参考資料】
肥満症診療ガイドライン2016
日本動脈硬化学会「一般の皆様へ 健康な生活のために」
メタボリックシンドロームのメカニズム(1) 動脈硬化編 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
メタボリックシンドロームのメカニズム(2) アディポサイトカイン編 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
がん予防法の提示 2017年8月1日改訂版 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 | 国立がん研究センター 社会と健康研究センター (ncc.go.jp)
日本動脈硬化学会「一般の皆様へ 健康な生活のために」
メタボリックシンドロームのメカニズム(1) 動脈硬化編 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
メタボリックシンドロームのメカニズム(2) アディポサイトカイン編 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
がん予防法の提示 2017年8月1日改訂版 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 | 国立がん研究センター 社会と健康研究センター (ncc.go.jp)
看護師 (006)