研究機関として(2) コラム2020.09.08

研究機関としての浜松PET診断センターについて、今回は「筋肉に着目した研究」をご紹介します。

前回の記事(研究機関として)はこちらから

当センターでの研究③

筋肉の量や力、身体機能(歩行能力)の加齢による変化が生活習慣病や生活機能(生きていくために必要な機能)とどのように関連しているのかを解明するため、201911月~202110月に実施されているPET研究検診※1では受診者の筋力(握力)・歩行速度を測定し、その他の検診データと共に解析をしています。

また、それらの解析結果を基に、サルコペニア2や生活習慣病、生活機能低下の予測・予防につなげることを目指しています。

筋肉に着目した未病への介入による予防

サルコペニアの健康面での影響

サルコペニアは、筋肉の量や力が加齢に伴い低下していきます。それに伴い転倒や骨折のリスクを増大させるといった直接的なことから、心臓病や呼吸器疾患への影響まで幅広く関連している可能性があることが、様々な研究から分かってきています。また、これらように日常生活活動(ADLActivities of daily living)や生活の質(QOLQuality of life)の低下をもたらすだけでなく、長期的には死亡のリスク要因となることが報告されています。(参考文献1)



これらを防ぐために、若年期・成人期に筋肉を最大化し、中年期に筋肉を維持し、高齢期における筋肉減少を最小化することが目標とされており、サルコペニアのリスクがある人(未病)を早期発見し効果的な介入を行い、リスクを下げ、発症を防ぎ・遅らせること(予防)が重要であることが分かります。 

本研究では、PETがん検診で得られる様々なデータと筋肉に関するデータを解析し、未病への介入を実現し、疾患の発症を予防することで健康寿命の延伸に挑戦していきます。
 


※1
PET
研究検診は、【浜松ホトニクス】【ホトニクス・グループ健康保険組合】【浜松PET診断センター】が協力し、実施しているホトニクス・グループ健康保険組合の被保険者に対するPETがん検診です。検診内容は、PET総合コースと同様となっており、社員の健康維持や医療費削減、PETがん検診の有効性の検証を主な目的とし取り組んでおります。

PET研究検診についてはこちらから

 

※2
ギリシャ語で筋肉を表す「sarx (sarco:サルコ)」と喪失を表す「penia(ぺニア)」を合わせた言葉。加齢や疾患により、筋肉量が減少することに加え、握力や下肢筋・体幹筋など全身の「筋力低下が起こること」または、歩くスピードが遅くなる、杖や手すりが必要になるなど、「身体機能の低下が起こること」を指します。

 

参考文献1
Cruz-Jentoft AJ. et al. Sarcopenia: revised European consensus on definition and diagnosis. Age Aging. 2019: 8: 16-31.
研究開発・合成 (003)