研究機関として コラム2020.02.07

研究機関としての浜松PET診断センター

浜松PET診断センターは、検診や検査を通して各種疾病の的確な診断、早期発見・早期治療を目指すとともに、健康維持・増進及び疾病の予防に関する研究を実施しています。2020年1月時点で現在進行中の研究が約30題目あり、累計では約60題目以上の研究を浜松医科大学や浜松ホトニクス(株)など様々な機関と共同で実施しています。
今回はそれらの研究の中から現在進めている「スクリーニング」に関する研究を2つご紹介します。

スクリーニングとは ~血液や尿から疾患をみつける~

スクリーニングのイメージ図
スクリーニング(screening検査とは、集団の中から特定の病気が疑われる人を選別する検査です。がんなどの疾病を簡便な検査で効率的に早期診断し、治癒可能な段階で発見することで、死亡率を低下させることを目的としています。
昨年末には「血液1滴で13種類のがんを発見できる検査キットを開発し、実証実験を始める」というニュースが話題になりましたが、それもスクリーニング検査の1種です。
このようなスクリーニング検査では、生体試料である血液や尿、唾液を使う検査法が多く検討されており、様々な研究が実施されております。

【当センターでの研究①】尿によるスクリーニング

尿を用いた研究では、“特定のタンパク質の変化”からがんを発見する研究を実施しています。タンパク質とがんについての研究は数多く実施されておりますが、本研究では採取が簡便で痛みを伴わない尿を分析試料として利用し、がんの早期発見を目指しています。
これまでの研究で、前立腺がんに対して特異的に関係するタンパク質が発見されており、その実用化を目指すとともに、その他のがんに関しても同様の成果が得られるよう研究を進めていく予定です。
この研究に伴い、現在、本研究にご同意をいただいた受診者様にはPETがん検診にて採取した尿の一部をご提供いただき、がんに関連するタンパク質の分析に使用させていただいております。

【当センターでの研究②】血液によるスクリーニング

白血球の種類と働きの概要
血液を用いた研究では、“好中球の活性”と疾患や加齢との関連性を検証しています。好中球は白血球の一種で、細菌などの外敵の侵入に対し活性酸素を産生して対抗する役割があります。一方、人間のからだにはこの活性酸素に対抗する能力が備わっており、通常、適正なバランスが保たれています。しかし、不適切な食習慣や運動不足等によって活性酸素が過剰発生すると、適正なバランスが崩れて酸化ストレスを惹き起こしてしまうことが知られています。
本研究では極微量の血液を使用して、好中球の活性から生体内のバランスの乱れを評価し、疾患の発症や加齢とどのように関連しているのかを解明していきます。2020年2月より、ご同意をいただいたPETがん検診の受診者様の血液の一部を解析に使用させていただきます。
研究開発・合成 (002)