“がん”について コラム2020.08.04

当センターでは、がんの早期発見を通して、早期治療を実現することで、“がんで死なない” 健康長寿社会を目指しています。今回はその“がん”について少しお話したいと思います。

がんになるリスク・がんで亡くなるリスク

2019年 死因別死亡数と死因に占める割合
既に様々なところで目にされていると思いますが、まず、はじめに統計データから“がん”について見ていきたいと思います。
2019年の1年間で日本の死亡者数はおよそ138万人です。そのうち約3割に上る37.6万人の方が “がん(悪性新生物)”によって亡くなっており※1、昭和56年以降、現在に至るまで死因順位の第1位となっています。

 
生涯でがんになる確率・がんで亡くなる確率
現在、日本人が生涯でがんになる確率・がんで死亡する確率はそれぞれ、男性が63%と24%で女性が48%と15%になっています。つまり2人に1人は何らかのがんになり、男性では4人に1人、女性では7人に1人はがんが原因で亡くなっていることになります。※2
また、男女別にどの部位のがんになりやすく、どの部位のがんで亡くなっているのかを見ていきますと、男性では前立腺、女性では子宮や乳房が多くなっています。そして男女ともに肺・大腸・胃が罹患・死亡ともに多くなっています。
部位別罹患数(2017年)と部位別死亡数(2018年)

がんは完全に防ぐことができない

「〇〇をするとがんのリスクを●%上げます」という言葉をよく耳にすると思います。しかし、残念ながらそれらの“がんリスクを上げると考えられているもの”すべてを排除したとしてもがんにならないようにすることはできないといわれています。禁煙や食生活の見直し、運動不足の解消などによってリスクを約40%下げる(予防する)※3ことができるといわれていますが、ゼロにすることは出来ません。従って、生活習慣を見直してリスクを下げることとがん検診で早期発見し、早期に治療することは両方大切になります。
日本人におけるがんの要因

がんの発生・進行と特徴

がんの特徴
がんのステージと5年相対生存率
人間の身体は約37兆個の細胞で構成されているといわれており、その数は新しい細胞の誕生と古い細胞の死によって一定に保たれています。このサイクルの中で遺伝子に傷が付き異常な細胞となった結果として増殖したものをがんといいます。また、がんは3つの特徴を持っており、良性腫瘍と区別されます。また、がんはこのような進行の度合いに応じてステージ分類されております。がんと診断された際の進行度が高いほどその後の生存率が低いことが分かっており、早期発見が重要であることが分かります。

 

検診でがんの予防と早期発見を

これまでにご紹介したように、がんについては予防+検診のセットが重要です。日頃の生活習慣の改善によってがんになるリスクを下げ、定期的な検診で早期に発見し死亡するリスクを下げましょう。
 
※1 「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況」厚生労働省より
※2 「がん登録・統計」国立がん研究センターがん情報サービスより
※3 「科学的根拠に基づくがん予防」国立がん研究センターがん情報サービスより
 
診療放射線技師 (004-1)