体組成について コラム2021.05.28

体組成(たいそせい)とは

体組成は人間の身体を構成する成分のことです。人間の身体は主に骨・脂肪・筋肉・水分で構成されており、これらのバランスを知り、維持・改善することが健康的な身体づくりに繋がります。身近な指標として体重・身長から算出されるBMIがあり、体型の目安とすることは出来ますが、脂肪や筋肉のバランスを把握することは出来ません。例えば、スポーツをされており、筋肉質な方で、BMIが大きくなり「肥満」と判定されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は体組成を知ることの出来る方法について代表的な2つをご紹介いたします。

体組成を知る方法

BIA法 – 電流による測定

BIA(Bioelectrical impedance analysis:生体電気インピーダンス)法
BIA(Bioelectrical impedance analysis:生体電気インピーダンス)法は微弱な電流を流すことで体組成を測定します。体組成計としてご自宅でも利用できる身近な方法です。電流を通しにくい脂肪組織に対し、筋肉や水分といった組織は電流を流しやすい性質があり、その電流抵抗値の違いを利用して体組成を推定します。
BIA法は、自宅等で短時間・気軽に測定が可能である一方で、測定する機種・体内の水分量などによって結果が変わりやすいというデメリットがあります。食事・運動・入浴などの前後では体内の水分量や体温が変化し、結果に影響するため、結果を比較する場合には同一条件で測定する必要があります。また、家庭用の体組成計では体全体のデータで表示されることが多いため、部位ごとの体組成を知りたい方にとっては物足りないかもしれません。
BIA法における水分量による影響のイメージ

DXA法 – X線による測定

DXA(Dual energy X-ray Absorptiometry:2重エネルギーX線吸収測定)法
DXA(Dual energy X-ray Absorptiometry:2重エネルギーX線吸収測定)法は微量なX線を照射することで体組成を測定します。医療施設や研究施設では正確に体組成を測定するために使われている一般的な方法です。2つのエネルギーのX線を全身に照射し、それぞれのX線の透過率の比から、脂肪・筋肉・骨といった体組成を計測することができます。DXA法は精度が高く部位ごとの体組成を詳細に知ることができ、骨密度の測定も可能です。しかし、医療機関などでなければ測定することができないため日々の測定には不向きで、ごく微量ではありますが被ばくを伴います。
  BIA法 DXA法
測定場所 自宅 病院・クリニックなど
測定時間 10秒~数分 約10分
値段 比較的安価 高価
体への影響 被ばくなし(微弱な電流) 被ばくあり(胸部レントゲンの1/6程度)
精度 機種によってばらつきあり
同一条件でないと比較が難しい
精度が高い
環境などによる影響 水分量・体調・時間・姿勢・服装などに影響されやすい 環境や体調で大きな影響を受けにくい
その他 体全体の体組成を推定
ペースメーカーなどを装着している方は禁忌
毎日のモチベーション維持に最適
体全体と部位毎の体組成を知ることが可能
骨密度も測定可能(腰椎or大腿骨)
全身を画像として客観的に見ることが可能

検査方法の使い分け

これまでにお話してきたように体組成を測定する方法には一長一短があります。普段はご自宅の体組成計で日々の健康管理をしつつ、年に1度はDXA法で身体のことを詳しく見てみてはいかがでしょうか。
当センターではDXA装置を採用しており、PETがん検診/総合コース+抗加齢オプションではがん検診とともに筋肉量や骨密度について調べることができます。次回のコラムでは、DXA法で得られる結果についてご紹介いたします。

【参考文献】

Inbody
 https://www.inbody.co.jp/notes-of-measurement/
タニタ
 https://www.tanita.co.jp/health/detail/38
生体電気インピーダンス法における絶飲食と飲水の影響
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/60/5/60_5_483/_pdf
身体組成の評価方法間にみられる身体密度および体脂肪率の差の検討
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/66/5/66_369/_pdf
診療放射線技師 (006)