ヒートショックを予防しよう コラム2021.01.11

ヒートショックとは

ヒートショックとは急激な気温差に身体がさらされることによって、血圧が激しく上下し、めまいや失神、心筋梗塞、脳梗塞などの健康被害を引き起こすショック症状です。気温が下がる11月頃から増え始め、3~4月頃までに多くなっており、暖房の効いている部屋から寒い脱衣所や廊下、トイレへの移動など自宅での普段の生活の中で起こります。

ヒートショックは、血管の急激な収縮や拡張が原因となります。
急激に寒くなると、身体は皮膚の表面に近い血管を細く(収縮)して血液が冷気にさらされないようにすることで体温を維持しようとするため、血圧が上がります。一方、身体が温まると逆に血管を拡張させるため、血圧が下がります。このような血圧の上下は心臓や脳、血管の負荷となり、命に関わる発作を起こします。特に10℃以上の温度差がある場合には注意が必要とされています。

浴室での死者は交通事故死者数より多い

ヒートショックが起こることが多いのが、入浴時です。入浴の際は以下の図のように暖かいところと寒いところの移動をするためリスクが上がります。また、その温度差が大きいことも特徴です。
浴室でヒートショックを起こし、気を失った場合は湯船で溺れることや発見が遅れることが考えられ、そのまま死に至ることもあります。平成30年における死因別統計では、不慮の溺死及び溺水によってなくなった方は8,021名※1で、そのうち、浴槽内での及び浴槽への転落によるものはその7割にあたる5,958名※2とされています。さらに平成25年度厚生労働省の研究事業による調査結果では実際に発生している入浴中の死者は年間19,000人と推測されており※3、交通事故死者数の4,595人※1、夏場に注意が必要な熱中症死者数の1,581人※4を大きく上回る数字となります。
ヒートショックによる死亡

ヒートショックを防ぐには – リスクの高い方・予防法

浴室での死亡は高齢者の割合が高く、その9割が65歳以上となっています。その他、ヒートショックのリスクが高い方として、糖尿病や高血圧、動脈硬化などの持病があることや肥満であることがあげられます。また、ヒートショックの原因となる急激な温度変化を起こさないようにすることで予防が可能です。消費者庁では浴室での事故死を防ぐポイントとして、以下のように挙げています※5。その他、日本気象協会からは「ヒートショック予報」が発表されておりますので、併せてご活用ください。
 
(1)入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
(2)湯温は 41 度以下、湯につかる時間は 10 分までを目安 にしましょう。
(3)浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
(4)食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けましょう。
(5)入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう。
 

※1 厚生労働省 平成30年(2018)人口動態統計(確定数)「死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対)」
※2 総務省統計局 e-Stat 「不慮の事故による死因(三桁基本分類)別にみた年齢(5歳階級)別死亡数・百分率」
※3 「厚生労働科学研究費補助金循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究 平成 24~25 年度総括研究報告書(研究代表者:堀進吾)」
※4 厚生労働省 熱中症による死亡数 人口動態統計(確定数)
※5 消費者庁ニュースリリース 令和2年11月19日
事務局 (006)