がん治療の選択肢 「からだにやさしいがん治療 ~陽子線治療とは~」 コラム2020.01.06

がんの治療法について

がんの治療法は大きく分けて、外科療法・化学療法・放射線療法の3つがあります。
(1) 外科療法
外科療法は病巣部を直接取り除けるため、転移などがなければ完治の可能性が高い点がメリットです。ただ、手術に伴う創部(キズ)の治癒と全身の回復に時間がかかる点や、切除した部位によっては臓器や体の機能が失われてしまう点でデメリットがあります。
(2) 化学(薬物)療法
化学(薬物)療法は抗がん剤などでがん細胞を死滅させたり、増殖を抑えて腫瘍を小さくしたり、転移や再発を抑えたりする治療方法で、転移のあるがんに効果的です。一方で正常細胞への影響も避けられないので副作用が現れたり、長期間の治療となる場合が多いことが難点です。
(3) 放射線療法
放射線療法は近年の技術進歩とともに治療効果が格段に向上している治療法です。外科療法と同様に病巣部に絞った治療ができる利点があるだけでなく、身体への負担を極力抑えて形態や機能を温存できるため、外科療法が困難な部位や高齢の方などにも用いることが可能です。しかしながら、少なからず副作用が出る場合もあり、治療法によっては再発時に用いることができなかったり、臓器やがんの種類によっては治療に向かない場合もあります。

陽子線治療の特徴

従来の放射線は身体の表面近くが強い線量となり、身体の深部へ向かうほど弱くなります。そのため身体の奥の方にあるがんの治療は難しく、その途中にある正常細胞も傷つけてしまいます。一方、陽子線は特定の深さでエネルギーを放出する「ブラッグ・ピーク」という性質があります。ピークの位置をがん病巣に一致させて照射するので、がん細胞にエネルギーを集中させ、正常細胞への影響を抑えることが出来ます。これまでの放射線治療の常識では、同じ場所に再発した場合2度目の放射線治療を行う事は考えられなかったのですが、「ブラッグ・ピーク」の性質を生かし、再照射も期待できます。
ブラッグ曲線

がん陽子線治療セカンドオピニオン外来をご存知でしょうか?

当センターは南東北がん陽子線治療センターと連携し、陽子線治療のセカンドオピニオン外来を開設しています。同センターの2019年12月末までの治療実績は5,229件にのぼり、「頭頸部がんに対する動注化学陽子線治療、肺がん、食道がん、胆管がん、膵がんなどに対する抗がん剤と陽子線を併用する化学陽子線治療、さらに腹部・骨盤部腫瘍に対する消化管の被曝を抑えたスペーサー手術後の陽子線治療」など隣接した総合南東北病院と連携したがん治療に力を入れています。当センターのがん陽子線セカンドオピニオン外来では、南東北がん陽子線治療センター センター長 村上昌雄医師と副センター長 和田仁医師がお話を伺います。がん治療の選択肢の1つとして陽子線治療をご検討頂く際のお力添えとなれば幸いです。

一般財団法人脳神経疾患研究所 附属 南東北がん陽子線治療センター

南東北がん陽子線治療センター
2008年10月 開院
2008年10月 治療開始
2009年2月 先進医療
2016年4月 小児がん 保険診療
2018年4月 頭頸部がんの一部
      骨軟部がん
      前立腺がん 保険診療
事務局 (003)