アミロイドPET検査とお薬の話 コラム2019.09.19

調べる薬 ~PET薬剤について~

HM-18型サイクロトロン(住友重機械工業)
PET検査では放射性同位元素で標識したPET薬剤を使用します。“放射性同位元素で標識する”とは、目印を付けるということです。そして体内に投与した目印であるPET薬剤をPET装置で見つけて画像化します。得られたPET画像から、PET薬剤がどの部位にどの程度集まっているのかを調べて、異常の有無を判断します。
Florbetapir合成装置MPS200Aβ(住友重機械工業)
当センターでは、サイクロトロンという加速器を用いて作り出した放射性同位元素を、自動合成装置を使用して標識することでPET薬剤を自家製造しています。さらに製造したPET薬剤を無菌化し、厳密な品質検定を行って安全性を確認した上でPET検査に使用します。

アミロイドPET検査で使用するPET薬剤について

PET薬剤で広く知られているものは、がん検診に使用されるFDG(放射性同位元素の18Fで標識をしたブドウ糖類似物質)ですが、アミロイドPET検査ではアミロイドβに特異的に結合する化合物に放射性同位元素の18Fで標識したPET薬剤を使用します。薬事承認されているアミロイドPET検査用のPET薬剤は現在3つありますが、当センターでは[18F]Florbetapir(フロルベタピル)というPET薬剤を使用しています。

治す薬 ~認知症治療薬について~

現在多くの認知症治療薬の開発研究が行われています。治療薬には、症状を改善させる薬(症候改善薬)と、原因を取り除き病気を治す薬(疾患修飾薬)の2種類があります。認知症の治療薬としては既に4種類の症候改善薬が認可され、実際に処方されていますが、疾患修飾薬で認可されている薬はありません。疾患修飾薬は世界中の製薬会社が開発に挑戦していますが、多くの薬が開発中止に追い込まれています。疾患修飾薬の開発が失敗している理由は、治療標的と症状改善の間に不確定要素が多いことが挙げられます。当センターでは、認知症の病態解明や治療薬(疾患修飾薬)の開発に向け、浜松医科大学をはじめとする研究機関や製薬会社等と共同で臨床研究を実施しています。
研究開発・合成 (001)